2014年03月

クリミア自治共和国の独立は、認められるか。

 ウクライナの自治区であるクリミア共和国は、クーデターで政権が変更された現状からロシア系の住民が自主独立を求めて住民投票を、この16日に行うことになっているが、それに先立って昨日、12日に「住民投票でロシア編入が決議されたならば、一旦、ウクライナから独立した後に、ロシアに帰属する」ことを議会で決議した。そして、それをロシアは承認したのだが、欧米各国はこのことが「ウクライナの憲法に違反している」として、これを承認していない。

 そもそも、民族自決の理念は民主主義の根幹をなす重要な要件であるのは間違いないのだが、これをクーデターによって政権奪取した、国民総意による承認を得ていない断定政権が、これを阻止できる道理があるのだろうか?
 また、これを支持する欧米各国に、「クリミア共和国がウクライナから独立する」ことに対して、直接的に口出しできる道理はあるのであろうか?

 もっとも、クーデター後の断定政権は、EUへの帰属を求めているようだが、この暫定政権は東部地区やクリミア共和国のロシア系住民の支持は受けていないのであるわけだから、「憲法違反」を持ちだすのには、無理があると思うのであるが、どうだろうか。

 クリミア共和国の分離独立は必然的な流れのようであるが、ここで看過してはならないのがタタール人の存在であり、その意志である。つまり、タタール人の人権をないがしろにして、この地域の安定はないのであって、意見対立、民族対立は依然として存在したままになる。

 また、ロシアのプーチン大統領は認めていないが、ロシア軍がクリミア半島に進駐して武力制圧しているようであり、これが事実であるならば、これはまた、国際社会としては容認できないところである。

 まだまだ、先が見えないウクライナ情勢である。
(<a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/140313/erp14031312240003-n1.htm" target="_blank"><span style="color:#FF0000;">この記事を参照のこと</span></a>)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140313/erp14031312240003-n1.htm

☆「平時の戦闘への備えと、領海・領空の防衛強化」(全人代・李首相)

 この5日から、中国では全人代(全国人民代表大会)が開催されている。習近平政権になってからは初めての全人代である。
 このお定まりの全人代ではあるが、注目すべきは李国強首相の政府活動報告の内容である。
 幾つかの注目点がああるが、まずは、この活動報告の中心の一つが「日本の安倍政権が右傾化している」との観点である。ここで李首相は強い口調で「歴史を逆行させることは、断固として許さない」とした主張である。
 過去の歴史についての観点は、それぞれ相対的なものであって、それをことさら自らの観点にすり合わせることは、実際にはそれほどの意味はないのであるが、この主張が本来の共通認識を大きく逸脱したものであるならば、相手方も、その真意と相違点を糾すのが当然の対応であろう。そこで、この全人代の李首相の発言を受けて、日本政府の菅官房長官は、「我が国は、歴史に逆行することはあり得ない」と、言明した。

 そもそも、全人代での政府活動報告は、今後の政策の方針を示すことがその本意であるわけだから、海外の注目度は厳密である。そこで次に国防に関する方針を李首相は、「平時の戦闘への備えと国境・領海・領空防衛の管理を強化する」ことを表明した。
 国防費は、前年比で2ケタの伸びをしめし、日本円で13兆円を超す予算を組んだわけだが、この予算の配分が海洋進出を想定して、海軍と海警の拡充に重点が置かれることが予想される。つまり、我が国にとっては、尖閣諸島の領有と領海の安全保障に関する重要性を再確認しなければならないということになる。

 しかしながら、全人代で議題となる中国の今後の見通し、つまり、将来の問題点はぼう大な人口と利権構造に浸食された社会体制の問題と相まって、多難であると言わざるを得ないだろう。
 つまり、それだけ、政権が不安定であることを物語っているように、私には思える。
(<a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/140305/chn14030511460003-n1.htm" target="_blank">この記事を参照のこと</a>)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140305/chn14030511460003-n1.htm

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