米国太平洋艦隊の情報戦部を統括するジェームズ・ファネル大佐が、「中国人民解放軍が、尖閣諸島の奪取作戦を含めた訓練を東シナ海で行っている」と発表した。
 もっとも、軍事訓練と言うのはそれなりの目的をもって行うものであるから、これ自体は何ら問題になるほどのことではないが、この人民解放軍が実施した軍事演習の規模がハンパではないのだ。この演習に参加した兵員が4万人以上というのである。
 ただ、これほどまでの兵員を投入して訓練をする意味を考えると、何とも空疎な感じがするのは否めない。つまり、訓練のための訓練であると思えるのだ。

 そもそも現代戦というのは、敵方の兵士と近距離で戦闘を展開するのは、その終盤戦においてしかないのであるのだが、これを数万人規模で演習を行う意味がどこにあるのかを疑ってしまうのである。その作戦行動においても、統制にも極めて困難な状況にあることは否めない上に、それほどの兵士が相手にする戦闘の状況が近代戦で想定して演習を行う意味があるのか、ということである。まして、それが海上の訓練ともなれば、海軍力と情報統合力に依拠するのは、必然なのである。
 もちろん、尖閣諸島の奪取を想定した演習であるならば、中国本土からの空軍力も導入されるわけだが、主たる戦闘は海軍が行うことになる。そして、その海軍力を日本の海上自衛隊の軍事力だけでも、中国人民解放軍の海軍と比較しても、現時点では日本の海上自衛隊が優位にあることは間違いないのである。
 軍事力というのは、単に艦船の能力や装備ばかりではなく、兵士の戦闘を想定した能力や意識にも大きく左右される。もちろん、現代戦では電子機器を駆使した情報収集とそのシステム統合も大きく能力に影響するのである。

 再度言うが、現状の日本と中国の海軍力を比較するならば、当然のごとくに日本の海上自衛隊が優位にあることは間違いない。
 まして、これは重要なのだが、日本は米国と同盟関係にあり、日本が中国と開戦という事になれば必然的に、在日米軍が動員されることになる。
 つまり、中国が日本と戦争をしても、現時点では勝利することはない、ということである。

 いま、米軍がなんらかの攻撃を受けた場合に日本の自衛隊が防衛出動できるかという、いわゆる「集団的自衛権」が、国会でも議論されているが、有事を想定すれば、「超法規的措置」として日本の自衛隊が出動することになる。
 これが、憲法の上位にある国際条約の原則であるのだ。

 結論になるが、この中国人民解放軍の「東シナ海での尖閣奪取を想定した大規模訓練」は、現時点では日米の脅威にはならない、ということである。
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