中国の大気汚染の実態が明らかになるにつれて、その深刻さが露呈してきているようだが、これに対する中国政府の対応は、進んでいないようである。
 これまで、その深刻さが指摘されていた「PM2・5」より、さらに重度に人体に及ぼす影響が深刻な「PM0・5」が研究者によって警告されている。
「PM0・5」の粒子が「PM2・5」よりもさらに小さいために、心臓などの循環器疾患をはじめとして、血管を通じて人体の細部にまで循環するという。つまり、人体のあらゆる部位の末端にまで到達するためにガンなどの重篤な疾患をもたらすというものである。

 そこで、問題なのは中国政府がこの環境汚染の改善に対する取り組みであるのだが、筆者の知る限りにおいては、その具体的な対策は採られていないようである。つまり、打つ手がないというのが実情だろう。
 この種の技術では、日本が公害対策で培った技術があるのだろうが、それを中国が自国のメンツなのか、日本に求めようとしていないようである。

 そもそも、この深刻な中国の大気汚染は、急速な産業発展の過程で置き去りにされてきた問題なのだ。多量の石炭・石油などの化石燃料を燃やし、工業の発展の礎となるエネルギーをまかなってきたのであるが、その負の遺産となるのが、この大気汚染物質なのだ。
 そして、その対策は対処的なもので復旧されるものではなく、抜本的な対策が採られなければならないし、その発生原因から精査、分析された上での対応策が求められるのである。

 これは、人体への影響、一般国民の実生活に直接的にかかわる問題なだけに、早急に対策が採られなければならないだろう。
 産業の急速な発展には、こうした悪影響が必ず付随するものである。この観点がなければ、何のための産業の発展なのか理解できなくなる。( この記事を参照)